和歌の世界にも影武者がいる? ~小倉百人一首 第五首~
奥山に
紅葉ふみわけ
鳴く鹿の
声きくときぞ
秋は悲しき
~猿丸大夫~
いつも当ブログをお読みいただき、
本当にありがとうございます。
初めて訪ねてくださった方に
おかれましても、
これからもどうぞよろしく
お願いいたします。
今回は、絵付き料紙を使い、
文字と共に雅やか系にしてみました。
でも、最後にある
“秋は悲しき”という文言があるから、
作者のお気持ちを考えて、
料紙は落ち着きのあるピンクベージュ。
悲しみや、はかない想いに、
明るい希望の兆しが
感じられるようにしました。
そして、“悲しき”の“し”は、
”志”の文字に置き換えて前向きに、
こんなに世の中いろいろあるから、
HAPPYの容量を爆増したいという
願いをこめて。
歌の内容と、
使う文字の選び方によって、
すごく雰囲気が変わってきます。
この寂しき和歌は文字にすると、
本当に素敵で、大化けします。
ちょっと華やか過ぎたかな?
寂しきとは、かけ離れましたね。
でもいいんです。
鹿の鳴く声は、
中国では古くから詩にうたわれ、
中国最古の詩集「詩経」にも、
「鹿鳴」の詩があり、
賓客をもてなす宴会で
歌われていた歌らしいです。
詩経は万葉集よりも、
千年以上前につくられています。
ちなみに明治にできた鹿鳴館は、
ここから名前の由来が
きているみたいですね。
中国四千年の歴史とはいえ、
侵略とクーデターの度に
文化は破壊され、
文化継承が無くなりつつある中国が、
中国古典の書に親しんできた身としては、
本当に残念でなりません。
※少し中国的庭園、晩秋の三渓園
横浜市は、上海と姉妹都市です
すみません、
話が横道にそれましたが元に戻しますね。
この和歌の作者である“猿丸大夫”は、
架空の人物らしいのです。
鹿に紅葉の組み合わせは、
伝統的な日本美の一つ。
伝説上の人物が、いつの間にか、
実在の人物のように伝えられてしまい、
歌集の編纂については、
いろいろとナゾがあるようです。
浮世絵の”写楽”のような
存在なのでしょうか。
写楽は謎の人物で、
喜多川歌麿だったのではないかと
いわれています。
猿丸太夫も大歌人の別名かもしれない、
なんてことが頭をよぎります。
では今回はこの辺りで、
もう秋らしい気候になってきましたから、
短い秋を存分に楽しみたいですね。
また次回もご覧いただけましたら、
すごくうれしいです..*..☆..*
成功文字力アカデミー
西岡恵美子