今日の一文字、写経と京都世界文化遺産ツアー その2
前回のブログは、
京都世界文化遺産ツアー2日めから
書きました。
なので、
今回は1日めの様子をお伝えします。
京都に到着したら、わりと強い雨、
そして風も。
このときに思い浮かんだ言葉が
”春雷”
奇跡的な出来事に恵まれ、
本当に刺激の強かった旅でした。
京都は感動的で魅力的なんだけれど
重く嫌みな感じもあって、
もう10年くらいは
京都に行かなくてもいいと、
お腹いっぱいな想いを感じたり。
でも、日常に戻ると
また行きたいと思っているから
不思議です。
今回のブログは少し長いのですが、
お読みいただけましたら
とてもうれしいです。
これでも省略して書いています。
雨がザーザー降る中、
どうしよう、やっぱり日頃の心がけが
良くなかったかなと訳もなく反省して、
不安ながらもいつものように、
なんとかなるさの精神で
目的地に向かいました。
私は車やタクシーで移動するよりも、
バスや電車のほうが
景色や地元の空気感が楽しめるので、
路線バスに乗って、まずは龍安寺まで。
その後、仁和寺~金閣寺を
予定してました。
バスには観光客らしき人は私だけで、
龍安寺前で下車するも、
あたりに人影はなく、雨音だけ。
とりあえず写経をしながら
時間を過ごして雨をしのごうと考えて、
龍安寺前の受付で拝観料を支払い、
“写経する場所はどちらにありますか?”
と聞きました。
“え?、写経はやっておりません、、”
“??でもホームページに
書いてありましたけど”
と、お互いサイトの確認をしました。
ガーン!
写経は天龍寺で、
私はいつの間にか、天龍寺から龍安寺に
記憶がすり替えられてここまで
来ていました。
勘違いもはなはだしくて、とんちんかん。
この静けさが
本来の龍安寺でしょうけれど、
まさに静寂という表現が
ぴったりなこの日。
いくら雨風が強いとはいえ、
世界文化遺産に私ひとり?
ウソでしょ?
こういう日はみんなどこに行くの?
寒いし寂しいーー
それでも龍安寺は、
やわらかな気の流れに包まれていました。
そしてこの勘違いのおかげで、
想像をはるかに上回る
龍安寺の美をゆっくり堪能することが
できました。
なんて運がいいんでしょう、
神様ありがとう。
龍安寺といえば、こちらの石庭が有名です。
雨模様の清涼感あふれるお庭で一人、
しばし佇む。
幽玄の世界ですね。
気持ちいい―
(まだまだ底冷えの京都、
暖房がきいてませんので
めちゃめちゃ寒い)
もし晴天でたくさんの人が訪れていたら、
また違う印象をもったことでしょう。
このお庭の石は、全部で15個。
でも、15個全部見つけられる人が
少ないそう。(私はわかったけど)
禅問答のような感じでしょうか。
エリザベス女王が
こちらをご覧になったときに、
大変感動されてから
龍安寺が有名になったきっかけを
つくられたそうです。
名もなき庭師たちの努力が
報いられた瞬間であって、
エリザベス女王の目利き
ということでしたらインパクト大ですね。
芸術は、審美眼を持つ、
時の権威者に見い出されることで、
後世まで守られることは多々あるけれど、
明治の廃仏毀釈のときをくぐり抜けて、
ここまで残されたことは、
やはり神仏のご加護なんだろうと思う。
神仏に捧げる純粋な想いで、
ここは造られたんですね。
十分伝わってきます。
ちょうどこの時期、京都の寺社では
“京の冬の旅”という企画をやっていて、
茶室と123年ぶりに公開された絵画の
特別展示がありました。
この絵画がすごく面白かった。
(撮影不可のため、画像ありません)
作者不明の狩野派ゴーギャン風で、
いつの時代にも新時代を切り開く
エッジのきいたアーティストがいます。
ここの方丈という建物には
暖房はきいておらず、
受付の方、ガイドの方も
無人に近いこの状況に、
終日凍えてしまっていたでしょう。
文化遺産を守るには、
たくさんの人々の助けが必要ですね。
ここは、AIというわけには
いかない雰囲気です。
俳優のリチャードギアさんが、
この茶室が大好きで、
お忍びで一時間ほど瞑想していたそうです。
リチャードギアさんのお宅には、
茶室があるとのこと。
相当な日本贔屓なんですね。
感動と廃仏毀釈という、
気分が高揚しながらも、
複雑でショッキングな想いを
抱きながら、仁和寺に向かいました。
そして仁和寺に到着するも、
やはり人影はほぼなく。
風がビュービューと強く吹く中、
金剛力士が出迎えくれました。
ありがとう、すごく壮観。
ここでも“京の冬の旅”という企画で、
普段は非公開の五重塔と金堂を
拝観することができました。
以前は、
皇族の方が僧侶になる仁和寺でしたが、
そのためか寺社というよりも、
御所のような雰囲気です。
金堂に入ると、
ガイドの方が案内してくれました。
でもガイドのおじ様が、
ものすごい関西系の方で、
これはこれで面白かったんですけど。
そして五重塔を拝観。
木造ですから、
年月と共に建物の嵩が縮み、
支柱を10センチずつカットしていると、
過去の文献に残っているそうです。
これは大変な作業でしたでしょうね。
壁画や板張りの絵画の劣化が激しく、
”ずいぶん痛みがすすんでるんですね、、
落書きがあるし、ひどいですね”
”内緒にしてほしいんやけど、
これは廃仏毀釈の時に痛めつけられて、
仁和寺は皇室関係だから
ある程度守られましたけど、
東寺なんかはもっとひどくて”
これを聞いて言葉を失い、ほぼ半日
寒さの中に身を置いていた為か、
急にどっと疲れが出てきました。
中国の文化大革命までいかないにしても、
これを聞かされてとてもショックでした。
時代の転換期とはいえ、
泣く泣く廃仏毀釈を
やらされていた人たちもいたでしょう。
その方たちや僧侶の方のことを考えると、
一気に心が重くなってきました。
疲れが出てきたら、緊張の糸が切れ、
先程まで気になっていて
言えなかったことを話していました。
仁和寺には、現代アートのオブジェが
所々に配置してあり、それが全く
仁和寺に似合っていなかったんですね。
(好みの問題ではあります)
お庭にもそれが置いてあったので、
”このオブジェ、
仁和寺に全然合ってないですね。”
”私からは
そんなことはよう言えませんけど、
管長さん替わってから方針が
変わったんでしょうかね。。。
でも仁和寺は
私らが子供の頃に比べると、
ずいぶんきれいになりましたよ”
この後、
金閣寺まで行きたかったのですが、
寒さで体力が消耗、とても無理でした。
受けとる感性もいっぱいいっぱい。
世界文化遺産規模を、今回のように
ガイド付きでじっくり拝観すると、
一日に3ヶ所巡るのは難しいでしょうか。
世界文化遺産には、
紆余曲折の歴史があり、
きれいごとばかりでは済まされず、
でもそこを越えた威厳と美があります。
最後はハッピーで良かった。
今回の京都の良かったところのひとつ、
お寺にいらっしゃる
女性スタッフさんの対応が、
皆さん笑顔で、とても丁寧な方ばかりで、
一生懸命説明してくださって
気持ち良く過ごせました。
感動と同じくらい、歴史の重みで、
ズーンと漬物石のようになっていた心が
和らいできました。
笑顔とホスピタリティは大切ですね。
改めて私も心がけようと思いました。
こんなに激しい旅になるとは
予想すらしてませんでしたが、
小宇宙のような
最高の日本の美を見ることができ、
先人たちに感謝しかありません。。
背中合わせにある現実の厳しさ、
でも世の中決して捨てたものでもなく、
社会の縮図が表現されていることを
見せつけられた感じです。
伝統文化と人々が守られ、
争いのない平和が続きますように。
そういう理念で、
寺社は建立されたはずですし。
近々リベンジで、
金閣寺、清水寺にやっぱり行きたいなと
考えています。
私も懲りないですね。
こういうドラマに惹かれるのでしょうか。
あと、書の作品も探してみたいと思います。
次回はまた違う題材で来週アップします。
最後まで読んでくださって、
本当にありがとうございまーす☆
成功文字力アカデミー
西岡恵美子